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「進撃の巨人」制作者が語る 日本アニメ成功の道筋

WIT STUDIO・和田丈嗣社長インタビュー

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 今、海外で最も勢いある日本のアニメが「進撃の巨人」だ。昨年、国内で放送が始まったテレビシリーズは既に30近くの国・地域で放送・配信され、どんどんファンを増やしている。原作漫画(講談社刊)にほれ込み、アニメ化を手掛けたのは新進の制作会社「WIT STUDIO」の和田丈嗣社長(35)だ。近年、韓国や東南アジアなどに押され気味といわれてきた日本のアニメに、むしろ強い将来性を感じているという。

誰もが自分にひき付けて考えられる物語

――原作のどこが気に入ったのか。

人類が壁に囲まれて暮らしている。そのことに疑問を持った主人公が、外の世界を見ようとしたら巨人に襲われる、という物語は、日本のあらゆる世代に加え、海外の人々にも通じると思った。それまで大学という壁の中で守られていたのに、卒業と同時に終身雇用が終わった実力社会に放り出される日本の若者とか。競争の激しいグローバル社会で食うか食われるかの戦いを強いられる欧米のビジネスマンとか。誰もが自分に引き付けてとらえることのできる物語だ。個人的には、前の制作会社から独立して、外の世界に出たばかりの自分たちの境遇と、物語がまっすぐつながっているように感じた。

――映像表現で挑戦した点は。

ここ数年のアニメ界は、フルCGが可能な時代に何をなすべきかという課題を突きつけられていた。今回の作品で1つの答えが出せたと思う。「進撃の巨人」の映像の特徴は、立体機動装置(巨人と戦う少年たちが身につける装置)を付けた少年たちが、次々と街や森の中を飛び回るスピードの表現だ。これを実現する上で重要な役割を果たしたのが、キャラクターを鉛筆や紙を使わずタブレット端末で描くデジタル作画だった。すべてをデジタルで行うことによって作業効率を上げることができ、(動画を描く)アニメーターと(CGによる処理を担当する)CGチームとの連携が新しい映像表現を生み出した。アニメにおけるCGの活用という点で、1つの頂点に達したと思う。

 「進撃の巨人」とは 天敵である「巨人」から逃れるため、人類は高い壁を築き、その中で暮らすようになった。それから100年。平和に慣れ、過去の恐怖を知らない子供たちが壁の外を夢見るようになったとき、壁を超える大きさの巨人が人類に襲いかかる。主人公の少年エレンは母を捕食されたことを機に、幼なじみの少女ミカサと共に、立体機動装置を使った対巨人戦闘術を学び、兵士となる。「壁」や「巨人」は何の象徴か、人類は結局、何と戦っているのか。さまざまな解釈を呼ぶ物語が大きな魅力になっている。
 原作漫画は2009年秋から「別冊少年マガジン」で連載中で、国内での単行本の発行部数は累計3000万部。アニメは昨年4月に東京などで放送が開始され、秋に終了したが、現在は岩手県、山梨県、鹿児島県、愛媛県などで放送中だ。順次リリースされているDVDは、昨夏発売された1巻目だけで10万本を超えた。今年は実写版の映画の撮影も始まる予定だ。
 海外では原作漫画の単行本は8言語に翻訳され、10カ国以上で発売された。北米(66万部)や韓国(53万部)、台湾(42万部)では特にヒットしている。テレビアニメは欧米やアジア、北アフリカ、オーストラリアなど30近くの国・地域で放送・配信され、今後も放映エリアは増える予定だ。

アニメ本編の続編もいずれやりたい

スタッフ全員が原作にほれ込んで、皆で同じ方向を向けたことが成功の最大の要因だ。映像の水準を上げてしまったがゆえに、スタッフ全員が会社に泊まり込みの連続になったが、そんな中で昨夏は台風による停電が起きた。作業がストップし、途方に暮れた作画のボスが「WIT 停電」とツイッターにつぶやいたら、瞬く間に「電気よ、つけ~」と祈るツイートが広がり、勇気づけられた。数時間後に復旧したとき、データは無事だった。ファンも含めて皆で作っているアニメだと思えた。

原作漫画はまだ続いている。アニメ本編の続編も、いずれやりたいと思っているが、今年は限定版コミックスにつけるDVDの制作に取り組んでいるところだ。本編とは別のエピソードを収めている。

米国文化で育った僕たち、素直に作ればグローバルに

――国内では、巨人に襲われる人類の姿を東日本大震災前後の日本と重ねてとらえる向きもあった。海外での反響は。

昨年は米国や英国、シンガポールのアニメフェスに出かけたが、立体機動装置のコスプレをした若者があまりに多いのに驚いた。思わぬ感想ももらった。例えば、米国では映画「バイオハザード」のミラ・ジョヴォヴィッチのようなスーパーウーマン的な女性キャラクターが好まれる伝統があるのだが、進撃の巨人のミカサ(主人公の友人の少女)を、現代風にアップデートされた新しい女性ヒロインとしてとらえている。ミカサは強いけれど、弱さも持っているからだ。「新しいゾンビものだね」といわれたこともあった。

(キャラクターの造形にしろ、映像の作りにしろ)はじめから世界に受けようと意図したことではない。日本で暮らしている中で、面白いと感じたことを作品にした結果だ。でも、僕たちは米国の文化も自然と子供の頃から吸収している。そうして身に付いた感性を生かせば、(日本人としての)独自性がありながらグローバルにチューンアップされた作品を生み出せるのだと思う。

日本語の世界で感じたことを突き詰める

――日本のテレビアニメは韓国をはじめとする他のアジア勢に押され、競争力を失いつつあるという声もある。

韓国の場合は、はじめからグローバル社会、特に米国を意識して映像作品などを作っている。それはそれですばらしいことだが、日本という環境、日本語の世界で感じたことを突き詰めることも、新しい、ユニークなものを作り出すことにつながるのではないか。

「進撃の巨人」には、(いわゆるアニメファンが好む)メカやかわいい少女が出てこない。残酷なシーンもある。アニメーション業界でよくいわれる「ヒットの方程式」の逆を行っているが、見たことのない映像、物語にファンがついてくれた。しかもアニメの場合、日本での放送とほぼ同時にネットを通じて海外で話題になる。先人たちの優れた作品群のおかげで、日本のアニメには国際的なリスぺクトもある。だから日本のアニメには将来性も、希望もあると思っている。

(聞き手は文化部 瀬崎久見子)

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